泡盛と琉球料理にほろ酔ひて宵の巷に英気を養ふ

アドバルーンの揚がる公園奥武山に朝日を浴びてランナー集ふ

沖縄のマラソン熱に目を見張る万余のランナーの八・九割占む

延えんと万余のランナーが流れ行く沿道架橋に人垣絶えず

沿道にハイビスカスの花の咲き砂糖黍畑に銀の穂揺るる

思ひやる摩文仁丘を巡りつつ今の平和の礎なるを

夏色の消えなずむ空激戦の海は緑に渚鎮もる

南海に追ひ詰められて玉砕す鳴呼痛ましき沖縄の悲史

新聞の戦意高揚が悔やまるる今に尾を引く「百人斬り」記

報道を検証すべし憂ふべし驕り昂るマスコミ裁判

今もなほ虚報誤報も意図的に反戦平和のマスコミ糺す

絶対を信じ得ざれば聞こえよき反戦平和もむなしかるべし

西側の一員として相応に護りを担へ痛みを分かち

外圧を頼る他なき国なるか自浄能力欠ける日本

陛下病む永久の平和を祈りつつ再びに立て東亜のリーダー

四時間半ゴールとともに立ち眩み帽子を被らぬ不覚にたたる

刻こくと制限時間が読まれゆく友帰り来て華やぐ一座

トロピカル那覇マラソンに駆け納め駆けも駆けたり南に北に

那覇駆けてマスコミ批判がほとばしる気高く散りたる兵士ら思ふ

　開催日　　　　昭和63年12月４日

　主催地　　　　沖縄県那覇市

　参加種目　　　フルマラソン（通算10回目）

　記録　　　　　４時間24分50秒

　「山の辺」　　２月号