マラソンの歌に魅されて後ろから独り急がず思ひめぐらす

眼間に色三層の富士の山カメラ持たねば瞼に写す

高原の空気は澄みて爽やかに緑の若葉がきらめき光る

初夏の陽に緑明かるく目に染むる森林浴の山中湖畔

法人の看板あまた立ち並び湖畔の宿は賑はひにけり

振り向けば裾の湖畔に声高くテニスに興ずる若者の群

見え隠れ前に後ろに富士の舞ふ湖畔マラソン飽くることなし

上り抜き下りに抜かるる車椅子に応援の声ひときは高し

健やかに歌に惹かれて走る吾幸せ分くる献血続けむ

そばだてば松籟耳に安らかにゴールの近き唐松林

水を持ち待ちくるるとは知らざりき旅の道連れやさしき千香子

　開催日　　　　昭和63年５月29日

　主催地　　　　山梨県南都留郡山中湖村

　参加種目　　　ハーフマラソン

　記録　　　　　 １時間54分54秒

　「短歌研究詠草」９月号