マラソンの歌10/11(14)号-33
  
平成4年 1992年





宮崎の世界盲人マラソンにわれは参加すツアーに入りて

エントリーなしたるなれど間際まで交通手段の模糊と気をもむ

追突の事故に忙しき日を送る警察病院見舞ひに追はれ

酒気帯びて追突事故の自賠責適用ならず言はずもがなを

鞭打ち症軽きを幸ひ出で来たり今年納めの青島マラソン

踏まれても吠えることなき盲導犬わが足元にじっと動かず(西湖氏所有キャリー君)

宮崎の暖かきかなフェニックス・ワシントニアパームのしるく目に染む

名目が世界となれば厳かに宮様迎へて式開かれぬ(高円宮ご夫妻)

間際まで降りたる雨も幸ひに上りて式は華やぎにみつ

各国の選手に花束捧ぐるは和服姿の宮崎の美女ら

宮様を和服姿をパノラマに撮りてスタートいつものごとく

外国の盲人ランナー駆けをれば付きて走れりカメラの車

閉鎖さる高速道路をひた走る土砂降りの雨降りしきる中

コートさへ滲み通るらむ土砂降りをスタッフらの立つ傘もささずに

巨人軍のキャンプ地日南土砂降りの雨に打たれて寒さ覚えず

関門を危ふく通過三十秒前「つくば」に出でし関はりはなく

フルマラソン二週続けて障りなし歌の滞貨が気にはなれども

松原を切り通したる自動車道変はらぬ景色をひたすらに駆く

雨雲の低く垂れ込む海岸線海鳴り聞こえて空の明るむ

雨止めば鏡のごとき道を駆くランナー逆さの影を追ひつつ

大会旗ワシントニアパームの影写る雨の止みたる道が鏡に

四分の三を激しき雨に遭ふ流し清めて憂ひ忘れむ

「秋川」に比べるべくもあらねども水の抵抗足に重たし(秋川渓谷自然人レース)

思ひきり媼の足を踏みつくる着替へむとしてバランス崩れ

地元紙の一面トップの記事に載る青島マラソン友の写りて(太田礼作氏)

傘さしてわれのガイドに友を導く奇岩・サボテン手に触れさせて

サボテン酒飲みて青島太平洋マラソンツアーを寛ぎてをり


 開催日   平成4年12月6日  主催地  宮崎県宮崎市

 参加種目 フルマラソン (通算31回目)    記録   4時間33分31秒

 「長流」   4月号


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