暗闇に湘南百キロスタートす海岸線が縁取り光る

耳にせし湘南百キロ雁坂峠に会ひたる友の紹介に出づ（堀　修平氏）

寒くなる予報の外れて暖かし明けやらぬ空を鴉啼き交ふ

起伏富む丘は緑の野菜畑清々しきかな朝露光る

逗子銀座の開店前の往きを駆く復りの憂ひ人の賑はふ

ウインドサーファーが岬を回り列をなす光り輝く湘南の海

波に浮く黒き姿のサーファーらサーフボードを操りながら

漂着せし鯨の屍体が岩に見え臭気放つを波の洗へり

渋滞の車を尻目に側を駆く稲村が岬七里が浜を

試走せし三浦横須賀葉山逗子鎌倉藤沢迷はずに駆く

昼近き暑き陽射しの中を折り返す氷の破片を頭に乗せて

頭からセーフの形に転倒を手袋はめゐてわれのことなし

タイミングのよき給水が有り難し移動エイドはバイクに乗りて

おびただしき鳶の飛び交ふ空の下がらくた市に人の賑はふ

百キロを十三時間の望み出で切らむとわれの歌どころになし

人生は一度しかなし主催者のＪＯＹのパロデーに応へ頑張る（注記）

陽は落ちて再び闇をゴールイン百キロ十三時間を切るは初めて

金色のメダルを下げてガッツポーズ名誉なるかなわれの完走

新たにもわれに厳しき大会に挑みてみたし秋田四万十

スタッフとランナー共々自己紹介われマラソンの歌を披露す

わがカメラ不良と判りて交換す技術の未熟と思ひてゐしに

不良品のカメラは交換なしたれど如何ともなしぼけたる写真