首都圏に近くも未踏の丹沢山カモシカマラソンにわれの参加す

小田原を発ちていよいよ山道を季節は梅雨の雨の降り出づ

山中はパーティー組むがルールにて試走に会ひたる友と再び（渡辺修子さん）

踏み跡の道筋あまた荒るる山首都近郊にて人の押し寄す

ハイカーに気軽なるべし丹沢山野生の鹿が人に餌欲る

剥きだしの肌は赤土風雪に削がれて尾根の痩せ細りたり

ぬかるみはわれも避けたし道筋の丹沢山塊荒れにぞ荒るる

稜線は雨に煙れり鶯の啼き声聞きつつ鎖場下る

積年の通路にへこむ登山道泥にまみれて下りに下る

口悪しく雨水にてとサポートの友ら作りし素麺うまし

下山後もわれを頼りの友を引く雨に破れて地図を持たねば

土砂降りの雨に備へしわが地図はビニール袋の保護に万全

痛ましや狸のむくろが道端に人間社会のエゴの犠牲に

梅雨しとど闇夜の小仏峠越え淑女二人をわれ引き連れて

時間内完走危ふしわがせなの点滅ライトに友を導きつつ

十六号辿れば至る川越にわれマイペースを友の付きて来

如何ともなほ二十余キロの道遠し遅るる友の歩みに合はす

降り止まぬ雨にいつしか嫌気差すフード被るも寒さこたへて

明け早し新狭山駅にてパーティーを解かざるままに共にリタイア

湯に漬かり仮眠もそこそこに飲む酒の誠にうましアフターマラソン

リズム感短歌もどきにわれ綴る走りて詠ふマラソンの歌