マラソンの歌23号-20
　　
平成13年 2001年

	ニューヨークのテロに屈せず開催の市民マラソンにわれは参加す 日の丸入り神風・根性の鉢巻をわれ手土産に国際親善 衆目を集めて周りに一重二重われら虚無僧もてもてモデル 三方より一斉スタートスタッテン島渡る海峡吊り橋三キロ 声援に応へて虚無僧われは駆く被りし天蓋少し掲げて 右手に天蓋左手に尺八大声援に応へてわれは両手を掲ぐ 邦人の声も混じりて聞こえ来る大声援のニューヨークマラソン 黒服に黒の帽子のユダヤ人街一種異様なり関心薄く 二千年耐へて建国のイスラエル領土拡張ことあるたびに 亡国の民に樹立のイスラエル住みゐし民が国を失ふ アメリカのイスラエル寄りがテロの原イスラム教徒の反感の的 パレスチナ国家樹立が急務なり聖地は国連統治の基に 欧米は自国文化を強ひるべからず鯨食文化が日本に有り 注記 Manhatan Bridge より車窓から 崩壊せしツインタワービルの方角に橋渡りつつ祈りを捧ぐ 声援に煽られて駆く一番街人種の坩堝のニューヨークシティー　　　 晩秋の黄昏迫るセントラルパーク色づく木々の瑞々しきかな 夕闇の迫るも絶へなき声援を虚無僧浴びつつゴール近づく アメリカの強さの秘訣は一体感テロに屈せぬ正義の力 教育に悪と戦ふ正義感育み忘れし戦後日本 訪れし固有名詞に接しつつ新たに挑む英会話のテープ 一向に覚えられなき英会話海外マラソンを目指し聞きをり
	開催日　　　　2001年11月4日 種目　　　　フルマラソン（通算62回目） 記録　　　　5時間48分00秒
	ニューヨークマラソンは桁外れに鷹揚で、応援の素晴らしい大会と聞いていました。身体障害者には特別に優しいとも聞いていました。そこで、一度は行きたいと思っていましたが、応募が大変厳しく、８ヶ月も前の募集と同時に満杯になるとは全く知らず、昨年は行きそびれました。 　従って、今年は昨年の轍を踏むまいと、早くから情報を集めて、近畿日本ツーリストの「地球を走る会」のツアーに、いち早く応募しました。しかし、何とも思いも寄らぬ航空機を武器とした、テロによるツインタワービルの崩壊です。 マラソンどころではなさそうなムードとなりました。 　 　 　　伴走仲間の岡添純子さんが勝又誠子さんを 　およそ37km地点　 折りしも、世界同時不況の様相を呈しています。アメリカでは長く続いた好況に陰りが見え始めたところにテロです。航空機利用者の激減は、消費活動の停滞に拍車がかかりました。日本ではバブル消滅後の長い不況に、構造改革なくして日本の再生は有り得ないと、80％以上の高支持率で誕生した、小泉内閣の改革が始まったばかりです。 炭疽菌・狂牛病もテロではないかと物騒な世の中です。 何とも沈滞ムードの中、アメリカではテロを新型の戦争とみなして、アフガニスタンへ爆撃を開始しました。ますます旅行どころではなさそうですが、ニューヨークマラソンはテロに屈せず、開催されるとの情報が入りました。私は、落ち込んでいるニューヨークに貧者の一灯にでもなればと、それまで多少の迷いが有りましたが、虚無僧姿で走ろうと決意しました。 　迷いの理由は私の完走時間です。虚無僧姿で走ると６時間はかかります。天候によってはもっとかかるかもしれません。制限時間内であってもあまり遅くなって、ツアーの皆さんに迷惑がかかってはならないと思ったからです。 　そのてん、NY在住のUMMLer Ohuchi Yutaka氏の情報はありがたいものでした。ヤフーの検索サービスに、住所を入力すれば地図上に位置を表示するというものです。宿泊ホテルのシェラトンはゴールから１�qほどの所と判って安心しました。外国では、地形が頭に入っていることほど心強いことはありません。 　氏とは大会前日の国際交流ランでお目にかかれて何よりでした。モテモテの虚無僧軍団、至る所で盛んにフラッシュを浴びましたが、次の２葉は氏から戴いた写真です。私たちにはごく自然体の写真がないので、貴重なものとして感謝したいと思います。 　同行の虚無僧は、１番弟子の竹田龍峰氏と２番弟子の千田虎峰氏でした。私は師匠と呼ばれるのがこそばゆいのですが、２人とも押しかけ弟子です。いきさつは、もう10年ほど前になりましょうか。私の毎年参加している仮装マラソンに、竹田氏も虚無僧で参加することになりました。そこで衣装1式を私の購入した所に注文しましたが、届いた袈裟に「龍峰」と刺繍がしてあったことに始まります。 　竹田氏は私が付けてくれたものと喜んでいます。私は「雲峰」の名前をウン十万円も払って戴いたので、勝手に名乗るとはけしからんと思っています。あわよくばピンはねしようと思ったのですが、突き詰めてみると、あつらえ先の粋な計らいと判ってあきらめざるを得ないのでした。 　以来入門者、いや、新たに加わる仲間は「峰」の字を勝手に付けるのがしきたりになりました。虚無僧ばかりか歌の仲間まで真似るようになりました。ニューヨークマラソンの出発に先立って、貴重なアドバイスをしてくれた浅野美智子さんが、かって「美峰」と孫弟子を名乗って現れた時にはびっくりしました。名付け親は虎峰氏でした。 いったい私の弟子は何人いるのでしょうか。私は師匠と呼ばれるたびに、照れくさくも、まんざらではないものとほくそ笑んでいるにはいるが。 　それにしても虚無僧の頭陀袋は便利なものです。私はデジカメ・雨と防寒兼用のビニール合羽・手土産の鉢巻・非常食などを入れました。少しでも時間を短縮するため、荷物を混雑するゴールで、取りに行かなくても済むように預けなかったのでした。 　初めて行ったアメリカ本土、あちこち興味は尽きないのですが、ゴールの話で端折って駄文を終えることにします。ともあれ、モテモテの虚無僧軍団、これに気分をよくした私たちは、ロンドン・パリ・ベルリンなども虚無僧姿で走ろうと目論んでいます。私の虚無僧姿をご覧になりたい方、来年のロンドンへ一緒にいかがですか。 　帰国後１週間も経たないのに、ニューヨークで航空機が市街地に墜落しました。またもやテロかと思われましたが、今度はどうやら事故のようです。しかし、航空機利用者の減少は避けられそうにありません。タイミングが悪すぎます。航空機会社には早く信頼を回復してもらいたいものです。 アフガニスタンのタリバンは強国アメリカには勝ち目はありません。アフガニスタンに早く平和が訪れてほしいものです。しかし、腕力からだけでは反感を生みます。今度こそアメリカはパレスチナ国家成立に後ろ盾となるべきです。 　そして、日本には普通の国になってもらいたいものです。泥縄式にPKO法案を改正して、自衛隊を派遣するようになりましたが、まだまだ普通では有りません。私は、ドイツ・フランスなどと同じように行動できる国であってほしいと思います。 日本は原爆を落とされたことでは、世界で唯一特殊かも知れませんが、そのために他のことまで特殊である必要はありません。日本は金だけでなく、行動でも多くの国と同じように活躍してほしいと思う私です。