落着を労ふ旅に下請けと浦佐マラソン趣味を兼ねつつ

窓下に開会式の声を聴く道にのどかにランナー群るる

スタートとともに朝霧晴れ渡り黄金にまぶし越後の秋は

朝凪に微動だにせぬ萩すすき絹雲さらりと青空を掃く

萩撓むつづら折り道透き通る秋の陽射しにランナーあへぐ

菅笠に日の丸の旗打ち振りて励ましくるる部落に和む

草分けて轍二筋砂利道を小石飛ばして脇目も振れず

汗の香に付きまとふ虻を道連れに人里遠く自然に浸る

静けさに沁み入る蝉の声聞けば汗はひとしほ玉と飛び散る

パノラマに展かる丘を独り駆く越後三山何処と知れず

ブレーキの利かぬ悩みに駆け下る虫の音すだく秋のゲレンデ

けふのため蓄へ置きしとふんだんに宿のもてなし西瓜のうまし

裏といふ基準いささか抗へど人の心に素朴さ残る

　主催地　　　　　新潟県南魚沼郡大和町

　参加種目　　　　20km

　記録　　　　　　１時間59分20秒

　「山の辺」　　　11月号

　「ランナーズ」　１月号