酔狂と笑はば笑へ帯広のタートルマラソンに妻と参加す

機の影を眼下に眺む空の旅雲海果てなく静止のごとし　　　　

初めての北海道は広びろと異国情緒に胸ときめかす

十勝川温泉の湯は滑らかに旅の安らぎしがらみを解く

この秋に戻り来し鮭宅送す旅の土産に朝市に見て

スケートのメッカ帯広整へる体育館にスタートを待つ

延えんと直線道路の側に沿ふ畑一枚駆くるに長し

広びろと人の心もおほらかに街の声援励みに走る

折り返すグリーンパークに長きゆゑギネスブックに載りたるベンチ

サービスの羊の肉のバーベキュー食べ放題に舌鼓打つ

「愛国」にて「幸福」ゆきのキップ買ふ名の廃るなく観光名所に

沿道に無名の奇岩あまたあり名付け給へとガイド宣ふ

荒れてこそ黄金道路忘るまじ滝と砕けて波押し寄する

荒れ狂ふ海鳴り耳に最果ての襟裳の宿に絵葉書を書く

ゆくりなく襟裳岬にてジョギングにせり上りくる朝日をろがむ

やるせなき思ひにはかに襲ひけりのどかに旅の果てなむとして

　開催日　　　昭和63年９月18日

　主催地　　　北海道帯広市

　参加種目　　ハーフマラソン

　記録　　　　１時間50分30秒

　「山の辺」　12月号