マラソンの歌6/7(12)号ー11
  
1990年 平成2年5月26日




過酷なる登山競走富士山に挑まむとして山岳を駆く

高尾山駅のロッカーに着替へ入れ陣馬往復自主トレーニング

鬱蒼と繁る緑陰森閑と鳥の鳴き声透きとほり来る

足元の小暗き道に危ふくも視力低下の進行しるし

走友の出版記念に昨夜出で今宵も続く招かるる宴(注記)

休日を無為に過ごすが絶へてなしマラソンにより体質変はる

うつし身を変へてみたきが人の常ジキルとハイドに身変はる心

マラソンに誘発されて吾が変身ルーツを詠ふ「走雑讃歌」

吾を知る昔の友は知らざらむマラソン尺八短歌の趣味を(元年五時間走より再掲)

若葉照る城山影信伝ひ来て小仏峠の巻道に入る

山間を高速道路の縫ふが見ゆ危ふき道を目尻に捕らへ

陣馬山山頂に立ち眺むれば吾が住む街の彼方が光る

湧き水にしめりて滑る坂道に尻餅しるく洗礼を受く

山道は駆くべからずと教へられ育ちしものをスポーツ化の成る

久びさに筋肉痛に悩まさる階段降りるがあやつるごとし

しばらくは淵につまづく幻に背筋冷たく苛まれたり


 距離     約26km

 所用時間  約4時間20分

 注記     竹田昭彦氏の出版記念と喜吉製作所佐野家の結婚披露宴


「雲峰のマラソンの歌」トップページに戻る マラソンの歌6/7号目次に戻る 前ページに戻る 次ページへ進む