都心なるホテルを出でて富士に発つ缶詰三日の研修終へて

定年にあと数年をなほ研修行動パターンを振り返りつつ

よき時のホテル住まひと妬まるる真夏日数日続くと言ひて

ゴールなる真向かふ富士は雲の中われ三度目の登山マラソン

真向かへる富士の見えぬがいと侘しひたすら登る汗に塗れて

腹の虫鳴くが響けり原生林くらしの音の跡絶え鎮もる

去年より十分早く辿り着く曇りたる分汗の少なく

山頂のひだに雪渓垣間見ゆ吹き舞ひ上ぐるガスの切れ間に

昨年の富士五合目の夏便り多くの友に喜ばれたり

わが歌集発送に代へ富士よりの暑中見舞ひを今年は省く

研修の仲間に宛てて山便り一人先立ち離れ来たれば

十二時がタイムリミット戻りたるランナー長蛇の列にバス待つ

砂山の砂を蹴立てて帰りけむランナー泥に塗れてをかし

七月の最終土曜日山日和富士の五合目賑はひにけり

　開催日　　平成４年７月25日

　主催地　　山梨県富士吉田市

　参加種目　五合目コース　距離15km

　記録　　　２時間37分14秒

　ゼッケン　NO・４１０１

　「長流」　11月号