盲人と伴走仲間の新企画山中湖畔の大会に出づ

見えぬとは一目見えなき仲間らとバスは貸し切りマラソンの旅

見えぬ目に「湖畔の宿」を友唄ふリゾート地山中湖畔歩みて

朝凪の緑の湖畔鎮もれりすみれの群生露を抱きて

スタートを揉まれ待ちをり先発のわれら山中湖畔一周

五分余もかかりてスタートライン踏むなほも大勢後のゐるに

足元の注意促し伴走にめぼしきものを伝へつつ駆く

スタートの三十分後のランナーにわれらたちまち抜かれつつ駆く

後発のランナー早し抜かれつつ自ずと遅速の流れ分かれり

渡る風寄する波音さはやかに山中湖畔を伴走に駆く

疑似国家オウム王国崩壊す姿隠して富士は見えざる

手を上げて合図後見る間に遠ざかる倅も後発ランナーの一人

懸命に坂を上りてゴールイン息のはずむを記者に掴まる（首藤昌史氏）

見えねども感性豊かに詩の記事紙面は友の答へしままに（小沢靖子さん）

返答の貧しきものを文字にして見違へりたるわがインタビュー記事

ボストンがけぢめと百ヶ所われ駆けて発刊が夢『百走一首』

新聞に夢を語りて公にもはや引けまじ『百走一首』

早々と声の便りが届きたりわれらが記事も吹き込まれゐて

駆けて後臨在感に作る歌駄作ながらも楽しみとして

楽しみが苦痛に変はる時もある当てにされたるマラソンの歌

　開催日　　　 　平成７年５月28日

　主催地　　　 　山梨県南都留郡山中湖村

　参加種目　　　湖畔一周コース14・３km

　記録　　　　 　１時間47分？

　ゼッケン　　 　伴走　

　「長流」　　　10月号