走友の百回記念の大会にわれ居合はすが当然と出づ（櫻井助治氏）

わが妻も走るが理想をマラソンに息子と一緒を友ら羨む

スタートの垂れ幕通過に七分余なほも後ろに走者ひしめく

見るからに暖かそうなるダウンジャケット着脹れ声援川口湖畔

癒えきらぬ風邪に首筋われ寒くスカーフ飾りの防寒に駆く

何時になく給水少なくわれの駆く風邪の症状腰の重たく

縫ひぐるみ暖かからむカンガルー若きカップルわが前を駆く

冠雪の富士の稜線透けて見ゆ覆ひたる雲わづか破れて

同日の大会多し五年振りわれの参加の河口湖マラソン

埋め立てのなりてバイパスわれら駆く狭き湖畔の見違へりたり

富士山を見つつ駆ければ日本一遺憾なるかな雲の覆へり

をみな子の差し出すパンに力得ていま一周を覚悟して駆く

二つ持つバナナ一本くれたるは通りすがりの見も知らぬ人

色褪せて残る枯れ葉のごときかなひきたる風邪にさへなくも駆く

ウルトラランナーの端くれとしてのプライドに歩むことなくわれの完走

狂歌とも長歌ともいへリズム感変化楽しくわれの綴るを