MC3-15 改姓馬杉
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平成１５年１月１０日開設
MC3-15 改姓馬杉
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百薬の‥‥２ 投稿者：呑峰 投稿日： 2月24日(月)22時09分10秒 |
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「お父様、私そろそろお出掛けしたいんですけれど、まだお時間かかりそうですか？」 「おっと、こりゃあいかん。ああ、もうこんな時間か。すまないねえ彩ちゃん。まだ途中で悪いけど入っちゃってくれ。」 夢中になってみがいていたら、ついつい時間を忘れていた。気がつけば、とっくに３０分を過ぎていた。 「よろしいんですの？すみません、急がせちゃって。じゃあ失礼しますね。あっ、お父様。そんな格好でお風邪ひかないでくださいね。」 大汗をかいた後の、全開のエアコンの下で呑むビールは、これまた格別であった。 「旨い！」 こうして娘の心配したとおり、大切なＹＥＺＯの直前に私は風邪をひいた。翌日から特別に調合した風邪薬(ビールとサウナ)で治そうとするが、まったく効かず、ますます悪くなるばかりであった。淋しい話だが、歳と共に風邪の治りが悪くなった。薬の効きが弱くなった。 結局、ＹＥＺＯの前日に具合の悪さはピークに迎え、ミーティングの時には悪寒でガタガタしていた。 やがて、始まる大宴会。早く宿に戻り、寝たかったのだが、どうやらそうもいかなそうだ。 「いんや〜、風邪ひいちまってさ〜、頭いたくってさ〜、熱っぽくってさ〜。」 優しい言葉の一つを期待して、媚びるような目をした私に、ミソ氏曰く、 「風邪？ けっ、修行が足りねえからひくんだって。そんなの一杯呑みゃあ治るって。日本酒！日本酒！ けっけっけっ！酒は百薬の長だって、けっけっけっ！」 ‥何て奴だ。オラ風邪ひいてるだぞ。ひでえじゃねえか。ちっとは優しくしてくれたっていいじゃねえかよ。冷てえ奴だ。‥ と、ぶつぶつ言いながら、 「おねえさあん、熱燗ね〜。」 ‥んっくっくう〜 ‥ 効きました。びっくりするほど効きました。腹わたにしみわたるとはこの事だろう。そして５分もしないうちに、ミソ氏はいい人になった。 「だよねえ〜、ミソちゃん。日本酒だよねえ〜。ひゃっひゃっ、百薬の長だよねえ〜。おねいさ〜ん、熱燗もう１本！いんや、日本酒だから２本！なんちって！ひゃっひゃっひゃ〜。」 その晩、私はビール２本と日本酒４〜５本を薬と信じ牛飲し、たちの悪い風邪は一気に治った、、、？ ‥さん、にい〜、いち、すた〜と〜‥ そして翌朝、私の初めてのＴＲＡＮＳ ＹＥＺＯは完全にぶり返した風邪と、二日酔いを加えて昨日以上にガンガンする頭と、やがて私の人生観を変えることになる最高の仲間達と共に、時折雨のまじる襟裳名物の強風の中をスタートした。 |
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百薬の‥‥１ 投稿者：呑峰 投稿日： 2月22日(土)19時09分24秒 |
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帯広空港に降り立ち、恐る恐る見上げた空は今にも泣き出しそうにどんよりと重たく曇り、ビデオで見たあのＹＥＺＯの蒼い空を信じ、こんなに遠くまで来てしまった私を不安にさせた。天気予報はまったく良くない。これからの一週間の旅の途中で、たとえわずかでもあの蒼い空に出会えそうな、そんな楽観できる天気予報ではまるでなかった。おまけに、一週間前にひいてしまった風邪は一向に治る気配はなく、ひどい熱と悪寒で、まさに“泣きっ面に蜂”の気分であった。 ＹＥＺＯのちょうど一週間前、長期間家を空けることへの後ろめたさから、久しぶりに風呂掃除をする。とても暑い日だった。ＹＥＺＯへの最後の長距離トレーニングを終え、軽くシャワーを浴びてから、風呂の壁と言わず、天井と言わず、桶からイスからあらゆるものにバスマジックリンをかけまくる。シュポシュポする手がつりそうになるほど、二本半くらい使った。汚れにしみ込むまで、１５分くらいそのままにしてパンツ一丁でビールを呑む。 「‥んっく〜っ！‥旨い！」 風呂掃除など滅多にはやらないが、やりだすと徹底的にやらないと気がすまない。 私の私自身への評価としては、 “いいと思ったら即行動、フットワークがとても良く、細かな気配りができて、そつがなく仕上げは完璧、とても役に立つ男” のつもりではあるが、周囲の評価はどうやら違う。周囲の意見を総合すると、 “思いつきで周囲の都合や迷惑などまったくおかまいなしで真夜中だろうがいきなりおっぱじめる、自分勝手なマイペースを人に押し付け、細かいをとおりこした神経質にはうんざりする、仕上げだけは確かに完璧だが、振り回される周りにとってはえらい迷惑な男、やるんなら誰も居ない時に一人でやってくれ” と言うことらしい。この評価は会社の部下も同じらしい。 いつだったか、嫁の実家へ行った時、居間でお茶をいただきながらテレビを観ていたのだが、ほんのちょっとしたテレビの汚れがどうにも気になり、 「お〜い、ちょっとさあ、固く絞った雑巾もってこいや。」 「は〜い、何をなさるんですか？」 と訝しげに嫁が持ってきた雑巾で、テレビの掃除を始めた。自分の家のテレビなら適当に済ますのだが、そこはそれ、大切な嫁の実家のことだからそうはいかない。私は真心込めて、隅から隅まで、裏の裏まで、そりゃあもう徹底的に磨き上げた。 やがて、新品と見間違うばかりにきれいになったテレビを眺め、 ‥こんだけきれいになりゃあ、きっと喜んでもらえるずら、人の役に立つってのはいいもんだなあ。これでまた、婿様の株もあがったぜ。くっくっく‥ と、悦に入る私をよそに、周囲の空気がちょっと変、 「ほ〜、きれいになるもんだなあ」 と、親父様には褒められたが、いつも穏やかな優しい笑顔のお袋さんの目はつり上がり、嫁はなんだかむくれている。 ‥ん〜？何だ？、、さては母娘喧嘩でもしたな〜。困ったもんだ。いい歳こいて。‥ と、その時は気にもとめずにいた。 そしてその晩、家に戻ると私は嫁にありったけ叱られた。しばらくしょぼんとしていたが、嫁の機嫌が直らないので、半ベソをかきながら車の中に家出した。 ‥え〜ん、せっかく良い事したのになんで怒られなきゃなんねえんだよ〜。ちくしょ〜、グレてやる〜‥ と、タバコに火をつけた。 ビールを呑みながらそんな昔を思い出していると、 「お父様、私お出掛けする前にシャワーを使わせていただきたいんですけど、あとどれくらいお時間かかります？」 と、娘がリビングに顔を出す。 「やあ、彩ちゃん、今日はお花の日だったねえ。あと２０分程かかるけどいいかな。」 「はい、そのくらいでしたら大丈夫ですわ。急がしてすみません。お願いしますね。」 ‥よ〜し、みがくぞ〜‥ つづく |
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峰の字 投稿者：泣き虫紋次郎 投稿日：12月15日(日)09時53分03秒 |
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峠で雲峰師匠に出っくわす。放尿中だったご様子で、振りながら振り返り、 「え〜、紋次郎さんかえ？」 「へい、さいざんす。」 「そこになおれ、写真を撮ってつかわす。帰ったらメールで送る。」 「ありがたき幸せ、お言葉に甘えさせていただきやす。ところで師匠、なんであっしの名前を？」 「うん、ゼッケンでわかった。」 これが雲峰師匠との、初めての会話であった。 しばらく前から、興味があったというと失礼になるが、お近づきになりたいと思っていた。いつも笑顔を絶やさずに、なんだか音の出るくらい飄々としてらっしゃるお姿は、まさにお名前のとうり自由な雲のような方だなあと、魅力を感じていた。声をかけていただき、嬉しかった。 中山道其の参も無事終了し、打ち上げ後の電車待ちの籠原駅で、師匠に缶ビールとワンカップをおごっていただく。師匠はいつものようにご機嫌である。 ----よし、いまだ---- 私は前日から考えていたことを口にする。 「あの〜、師匠、おねだりがあるんですが」 「ん？何だ。申せ」 「へい。実は『峰』の字を頂戴してーえんですが」 「ん？あっ、いいよ。」 「ほんとっすか？」 「うん、いいよ。そのかわりこれを呑め」 と、ワンカップをもう一本手渡された。 こうして私は『峰』の字を賜るが、まえの字がなかなか見つからない。籠原駅で仲間たちにもいろいろ考えてもらったが、これぞというお気に入りがない。少し、時間をかけることにする。 師匠とは帰る方向が一緒で、最寄の駅は二駅しか離れていない。約二時間の帰り道、たくさんの興味深いお話をしてくださった。再会を約束し、駅で別れる 翌日、師匠よりメールが届く。峠で撮ってもらった写真のデータを送っていただいた。 「峰の前の字がなかなか見つかりません。次回の中山道でお会いした時相談させてください。」 と、お礼のメールに付け加える。 そして、３週間後、中山道其の四に向かう乗り換えの赤羽駅で、電車待ちする雲峰師匠を発見。 再会の挨拶もそこそこに、 「師匠、先にいただいた『峰』の字なんですが、前に良い字が見つからないんですよ〜」 「あ〜、それね〜、う〜ん、そんな事言ったっけ？」 と、仰せになる。 「えっ！言ったじゃねーすか。そんなに酔っ払ってたんすか？」 「うん、ぜんぜん覚えてない。」 ----何て人だ---- そんな訳で私の名前はまだ決まっていない。 |
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