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| 走雑歌 昭和62年春 朝明けのジョギング六年習はしに四季折々の自然を友に 絡むがに枝垂れ柳に寒の月心奪はれ歌心湧く 凍て付くも月星なくも苦を忘れ拙き歌を捻りつつ駆く 寝静まる農家の庭の沈丁花闇の垣根を越えて香し 満天の星仰ぎつつ十キロ走明けの明星背にして戻る 三日月が明けの明星蹴り上げて茜の空に競ひ輝く マラソン号特別列車にて合歓の郷へ走人走り飲みて憩へり 畑中の三浦マラソン春一番に土煙立ち岬覆はる 梅の香に垣成す人の絶え間なし青梅マラソン青梅路深く  垂れ下がる梢跳ね上げ雪しぶき佐倉マラソン白銀の中 マラソンに得たる悦び分かちたく献血続けて金章受賞 ジョギングの狙ひ二つに成りにけり健康管理と花鳥諷詠 |
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| 走讃歌 昭和63年夏 厄年の秋戯れに子らと駆け不甲斐なき身を身にしみて知る 体力の減退防止にジョギングす一キロ走るに吐き気催す 余りなる体力減に情けなく奮起一番継続のもと 月ごとに五百メートル延ばしつつ三キロ六月五キロ一年 顧みて走る辛さに勝りたる後の快感今に続けり 贅肉の落つるに連れて使ふ度詰めにつめたり数あるベルト 誘はれて青梅マラソン場違ひと断りながら出でて病みつき フルマラソン走れば思ふ為せば成る虚無僧夢見て尺八を吹く 冴え渡る寒の満月忽然とわが歌心を誘ひにけり 大会の走列の尾をゆるゆると土地の趣き歌にめぐらす 大会を吟行として琴線に触るるを歌にマラソンの旅 拙くも裡(うち)の高鳴り歌にして記憶に留めむ思ひ出として 自らの足の記憶の鮮しく忘れ得まじく蘇り来る 全国に市民マラソン華やかに万葉の里明日香走らむ 地図見れば明日香界隈「山の辺」の歌誌に馴染みの歌友の在所 万葉の明日香走らば「山の辺」の歌誌読む心楽しからずや 高齢化社会に生きて歌誌の友寂しき心を愛しく詠ふ ジョギングを暮らしの糧になされませ爽快感に心華やぐ 現身(うつしみ)に活を求めて運動の汗を掻きませ転ばぬように おほけなくジョギング教を布教せむあまねく人の健康願ひ 運動の汗を流して食すれば快食快便鬱など消なむ おほかたの頭痛肩凝り下痢便秘汗掻けば治る運動不足ぞ 世の中の生臭きこと煩はしジョギングすればストレス解消 健やかに老いむと欲しジョギングす道に倒るは半ば本望 老い先を社会福祉に頼るなく健康ゆえの自立を希ふ マラソンに詠歌尺八その上に何を望むや気ままに残世 ジョギングの五感に触るる自然美を友と語らむ歌にし詠まむ 走友の中に歌友を作りたし歌友の中に走友もまた マラソンの旅へ誘ふ雲流る歌に惹かるる心を招く ジョギングの弊害一つ美味酒を飲めに飲めたり惚くるほどに |
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