街路樹の滴の雨に打たれつつ和歌山城下を未明にスタートす

和歌山城追廻し門前をスタートす高野山往復ウルトラマラソン

紀の川に沿ふ街の灯の輝きて雲の切れ間に星影のぞく

堤防の緑鮮やかに清々し日の出間近き貴志川渡る

村祭り近づく街のご神灯街道筋につらなりさがる

穫りいれはいまが盛りの高野柿山の畑に色づき実る

杉ひのき常緑樹林のあぢけなし季節は秋のたけなはなるに

味気なき常緑樹林につた紅葉幹を伝ひて秋をいろどる

山林は雑木林にかへすべし補助金頼りの林業なれば

峠越えいくつなし来し高野山登りは歩き下り走りて

参道に大型バスの連なればランナー排ガスに悩みつつ駆く

内側に回りて大門くぐり出でウルトラマラソン折り返したり

朱塗りなる大門潜りて折り返す奥の院まで行きたきものを

空海の開きたる山高野山奥を知らずにわれ折り返す

高野柿かじりつつ駆くる復り道秋たけなはの陽射し明るし

山里ののどかなるかな秋の日を浴びてエイドに余裕の憩

衆院選棄権防止の呼びかけが響き聞えく山間の街

衆院選不在投票われなして出で来るなりウルトラマラソン

日は暮れて高野おろしの風寒し用意のビニール袋をかぶる

栄光を闇にひそめて和歌山城白壁の映ゆライトアップに

　開催日　 　平成８年10月20日

　主催　　　　和歌山ウルトラマラソン実行委員会　代表西峰健旨氏

　距離　　　　１１０km弱　

　制限時間　15時間　スタート５時（時差スタート４時）

　記録　　　　15時間06分（17時06分着）

　ゼッケン 　NO・68

　「長流」　　平成９年４月号