マラソンの歌18号-5
  
平成8年 1996年




肝心の日取りのミスを大会の間近に詫びつつ詳報届く

開催日ミスの通告震災を思ひやりつつ余りに遅し

他を放棄キャンセル料を払ひつつ遺憾なるかな通知の遅れ

震災のきずあと残る元町に友と夕餉の食料あさる(千田虎峰氏)

シャッターに仮営業の移転先震災被害の哀れにわびし

朝凪に光たゆたふ春の海晴れてさいはひ山岳マラソン

やせ尾根の須磨アルプスをランナーの連なり渡る蟻のごとくに

花便り聞かるる昨今六甲の山はわづかに芽吹きにうるむ

六甲山全山縦走に聞こえくる鳥の高啼き耳に鋭し

険阻なる道急ぎつつわがめぐり見えて視えなし聞こえて聴けず

手頃なる石にすわりて腹ごしらへチェックポイント市原河原

相前後なしたる友らが通り過ぐ腹ごしらへにわれの憩ふを

橋の下土管が宿とジャーニーラン全国各地を友はめぐりて(永田守末氏)

ジョギングの行き着くところジャーニーラン歴史街道おもね訪ねて

究極は漂泊が夢ジャーニーラン西行芭蕉にわれはあやかり

四年振りわれは二度目のこの大会ウルトラマラソンの場数踏みつつ

豆一つ出来ず完走五本指靴下にかへ靴は大きく

リストラに残るも厳し走る暇なきも完走ただ者ならず(山口数博氏)

残りたる料理をきれいに平らぐる走るを犠牲に作りし友の(梅野牧和氏)

関西にその名も高きゲテモノ同志会アフターマラソン飲むが楽しみ

集ひたる仲間の大方われの知る飲めばゲテモノ恍惚のわれ

六甲に新女王の誕生す肩書きは元オリエンテーリング女王(出田裕子さん)

山を駆け飲むがゲテモノ同志会役に仕切るは地元山姥(加藤ひろみさん)


 開催日  平成8年3月31日

 主催    兵庫県勤労者山岳連盟

 距離    52km

 記録    8時間55分

 ゼッケン  NO・707

 「長流」   8月号


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