四万十川ウルトラマラソン危ふくも台風治まり大会の成る

道筋に篝火が燃え四万十川ウルトラマラソン未明にスタートす

集落は過疎なるならむ弥次郎兵衞案山子も端に応援に立つ

岩壁を伝ひて水の流れ落つ道をも伝ひて川と変はれり

わくらばや小石がごみに散乱す昨夜の嵐の名残止めて

四万十川自然のままに流れをり昨夜の雨を集め濁りて

生い茂る草木を漬けて流れをり護岸工事のなきが自然に

沈下橋渡れぬもよし濁流の溢れ流るる様ぞまれなる

悠々と波紋描きて流れ行く出来ては消えつつ絶ゆることなし

山並みに送電線も塔もなしダムなき川は自然のままに

観光も水力発電も活用はいづれも自然の恩恵による

電力の無き世はもはや生きられず核をも平和利用に頼る

山一つ迂回に蛇行の四万十川峰半家峠をわれの越えたり

波音に呼び覚まされてわれの駆く延々四万十川に沿ひつつ

小鳥らの巣宿かしまし何時知らず四万十川に黄昏迫る

先行の友ら付けたるペンライト仄かに光るをわれの追ひ駆く

照明の至れり尽くせり過保護とも思へば自然が少し遠のく

提灯の明りに歩みしその昔切れたる思ひに辿りて見たし

人が火を手に入れてより頂点に立ちて環境破壊の続く

成長が止まれば恐慌促せば破壊増進いかになすべし

思はざる生成環境ホルモンに生命の危機存続危ふし

篝火の再び燃ゆる町に入るわれの完走陸連公認

四万十川百キロ完走祝杯に飲むは蔵酒ごりを肴に

蔵酒がスタミナ源になりたると帰路も飲みつつ入賞の友（藤原定子さん）

地元なる生徒がなまずを描きたる小石が記念文鎮として（富永太智君作）

四万十川を走りし記念の鯰の絵の小石見飽かず生き生きとして

前夜祭にて　井上博方氏の走友と