梅雨空に靄のかかれば木下闇カモシカマラソン足元危ふし

三人が組に参加のカモシカマラソンわがチーム名花鳥風月

奥秩父主脈縦走われの知る山は雲取ただの一山

登りたる山は雲取ただ一峰地図丸暗記にわれの参加す

全体に苔を纏ひて横たはる跨ぐ倒木幾年経るや

大木もいつかは倒れ苔の蒸す原生林に心和ます

量感のある物音に振り向けば木陰に鹿のわれを見てをり

熊笹の覆ひ被さる細き道足に目のあるごとく押し行く

身のすくむ思ひの数多山道にてわれの転倒まこと危ふし

二度あれば三度あること恐れつつ又もや転倒股間のすくむ

多摩川に注ぐ源水岩清水渡り渡りてカモシカマラソン

富士荒川多摩三川の分水嶺わが汗大地に滴り染みる

脇道に逸れて水汲み背なの荷を担ひたるままわれの往復（雁峠）

荷を置きて雁坂嶺への往復が余計に厳し夕闇迫る（雁坂峠）

チーム走ゆゑの頑張り夜になるも飲めず食へずも友の頑張り

休憩にライトを消せば真っ暗闇気配は雨の深山は眠る

川又に下りて安心なほ遠く友と一緒にわれのリタイア

停年を迎へてわれのつつがなしマラソン三昧夢とこそすれ

作品はともあれ続くが誇りなり短歌もどきのマラソンの歌

『マラソンの歌』を国会図書館へ友の勧めに従ひ送る

わが歌集『マラソンの歌』受理せりと礼状届く国会図書館より