マラソンの歌22号-18
 
第6回 万里の長城 100kmウルトラマラソン  
平成12年 2000年



日本よりわづか六名参加者の万里の長城百キロマラソン

オリンピック目指して街並み改造中共産国に反対者なし

それぞれの趣味持つ人にて賑はへり天壇公園朝早くから

中国に走友いるとは知らざりき友が突然北京語話す(本木リヨ子さん)

突然の友の奇声にたまげたり発狂せしかと紛ふばかりに(海宝道義氏)

午前五時名だたる天安門広場われらスタートす百キロマラソン

袖引きて合図くれたり交差点異国の信号にわれ戸惑ふを(ゼッケン37番さん)

歩調合ふ現地の人と並び駆く無念言葉は通ぜざれども

曇天に兆しは雨の駆け易しおよそ真っ直ぐ平坦な道

延々とポプラ並木が続くなり変はればアカシア並木が続く

十月の北京の雨は希といふ激しき雨に打たれて走る

干されたるとうもろこしが水浸しのどかなるかな道路に干さる

雨の降る北京郊外の田舎道ロバ引く車に擦れ違ひたり

折り返しわれは九番目大方が短縮コースを進みたるらし

街路樹が柳に変はりて慕田峪(ぼでんよく)まで十数キロの表示見えたり

後尾車が側に止まりて乗れという門限六時を五時といひ張る

乗れといふ身振りに空し争へずわれの諦めバスに乗り込む

下見せし思ひ出残れば諦めむ色づく秋の慕田峪長城を


 開催日
      平成12年10月22

 主催         万里の長城100qウルトラマラソン実行委員会

 企画         海宝ロードランニング(海宝道義氏)

 種目         100qウルトラマラソン(短縮コース80q)

  制限時間    13時間 午前5時〜午後6時

 コース      天安門広場〜慕田峪長城〜折り返し石段下駐車場

 参加者      日本人6名 中国人61 アメリカ人1名

  記録         午後2時54 83q地点で強制的に収容される

 ゼッケン    bQ   「長流」平成13年4月号


 バスへの収容は全く想定外のことでした。企画責任者の海宝氏が、中国は断りもなく勝手に方針を変えることが有るんで困るんですよ。と、こぼしていましたが、中国へ進出した日本企業ほとんどの悩みの種のようです。ともあれ、中国側責任者の弁明によると、6回目にして初めての雨で、選手の健康を気遣ったとのことでした。

私はこれまで何度も書くように雨は得手です。単にビニール袋を被るだけで、冷たい雨もむしろ快適になります。雨風に対して、エイドにビニール袋を置くなど対処は簡単なので、中国の方にはルールを変える前に、是非見習って頂きたいものです。

ともあれ、晴れると危ういところを、雨が幸い完走を確信していた矢先です。海宝氏の指示がない限り従えないと、主張したいところですが何しろ言葉が通じません。仕方がないことでした。

その点本木さんは立派です。3度目の出場、会話が通じれば益々勉強に励みが出ての参加です。翌日は一緒に走ったランナーとデイトを楽しんだようです。

中国は2008年のオリンピック誘致を目指して、ダイナミックに街並みを改造中です。さすがに共産国です。居座り反対者は1人もいないようです。

政治面では日中間に歴史認識の上で大きな隔たりがあります。中国は共産党の独裁国家であるが、経済は自由主義を取り入れています。そのための矛盾が民衆の憤懣として各所に噴出します。中国政府が日本の歴史認識を攻撃するのは、民衆の憤懣の捌け口としてです。莫大な援助をしているにもかかわらず、公表もせず、果てしもなく謝罪を求めるのはそのためです。交戦国であった日中の史実に異なる見方があるのは当然です。異なる見方を認め合うのが友好国であって、見方を強要するのは間違いです。余りにも弱腰の日本政府にたまり兼ねて、立ち上がったのが「新しい歴史教科書を作る会」です。

私は新しい歴史教科書に期待していますが、いかがわしいのは一部大新聞の論調です。史実に模糊たるところがあれば、自国に有利に解釈するのが普通を、虚報誤報も厭わず、自国を貶めるような論調には辟易します。そんな新聞報道を証拠立てての抗議であるだけに、遺憾であるが、中国は外務省を通じて理不尽な圧力をかけています。

外交官とは「国家のためにウソをいうよう海外に派遣される最も正直な人物」の教訓に反して、だれよりも自国を愛する人の集団であるはずの、外務省の職務怠慢かつ違法な横槍を憂いつつ、私は文部省の検定に注目しています。

大所高所はさて置き、街へ出れば公園も市場も大衆食堂も大変穏やかでした。

観光を含めて成田から6名、関西福岡から各1名合計8名のツアー。主催の海宝氏共催の旅行社津川氏には、とても採算に取れるとは思いませんが、2人ともランナーとして、いつもと変らないサービスに感謝したいと思います。


成田から空路3時間、時差1時間、ツアー代金は4泊5日朝食付きビザ手数料込みで15万1千円でした。現地での費用は土産代を除いて、空港使用料を入れても5千円を両替しただけで間に合いました。因みに、街の食堂ではビール大瓶1本39円、市場でワイン1本130円でした。

キ印ランナーの皆さんには一度お勧めしたい所です。



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