四十四とわが献血の回数と同じき回の大会に出づ

澄み渡る朝（あした）の富士は鮮やかに雄姿間近に目前に迫る

夏の陽は朝からすでに容赦なし昼の陽射しの思ひやらるる

山頂に向きて市街地駆け抜ける夏の日盛り眩しき街を

烈日をからまつ林が遮るを幸ひにしてひたすらに駆く

正面の富士に向かひて真直ぐに伸びたる道の下るはずなし

富士見つつ駆くるは中の茶店まで原生林の懐に入る

いま少し去年は駆けしと思ひつつ足の求めに歩みに歩む

聞き耳に山のこだまを捕らへ聴く一人離され辿る山道

炎天の富士五合目に辿り着く山頂コースを思ひやりつつ

サービスの味噌汁うまし発砲の椀に五杯を軽く飲み干す

辿り来し眼下の景を見詰めゐるをみなの横顔感慨深し

見霽かす富士の裾野の夏景色モザイク模様が眩しく光る

雲上閣のスタンプ押して涼を添へ夏の便りを下界に送る

　開催日　　 　　平成３年７月25日

　主催地　　　　 山梨県富士吉田市

　参加種目　　 　5合目コース　距離15km

　記録　　　　　　２時間46分32秒

　ゼッケン　　　　NO・４３７５

　「山の辺」　　　10月号