マラソンの歌10/11(14)号ー5
  

平成4年 1992年



落選と言へば伴走頼まれり制限厳しき都民マラソン

ニューヨーク・ボストンに習ひ大勢に駆けさせ給へ制限を解き

初めての都民マラソン新築の都庁舎仰ぎランナー集ふ

姦しき女性の列にわれ並ぶわが導(ひ)く盲が女性のゆゑに(小沢靖子さん)

首一つ出でたるわれは女性らに囲まれてをり励まされつつ

流れ出づ横一列に数十名人の流れの大河となりて

新宿の大ガード下をくぐり駆く早走列の細りたる尾を

走行車一台もなき三車線規制に車のなき道広し

谷口が瀬古が駆けたる同じ道を伴走に駆く意気揚々と

役員の都バスの色のジャンパーの緑目に染む真冬の街に

東京の都心の住民多からず日曜休みのビル街を駆く

下町に唯一の坂は橋にして運河の多く意外にきつし

遠くより厩舎の臭ひ鼻を突くゴールの大井競馬場なり

写りしと家に帰れば妻の言ふテレビ見たりと電話掛かり来(注記1)

大阪に新女王の生まれたり世界に冠たるマラソン日本(注記2)


 開催日  平成4年1月26日

 主催地  東京都

 参加種目 ハーフマラソン

 記録   2時間24分15秒

 ゼッケン 伴走

 注記1  見たと山崎秋雄氏。ビディオを譲ると櫻井助治氏。

 注記2  この日大阪女子マラソンが在り、3人が日本新記録を出す。
       1位小鴨由水さん、2位松野明美さん、4位山本佳子さん。

 「長流」5月号6首


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